10.3兆円
量子コンピューティングへの官民投資額の想定(2040年度まで)
2,039億円
量子コンピュータ産業化事業(令和9年度 概算要求)
50兆円規模
量子技術による生産額の目標(2030年)
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金額は「どの段階の数字か」で意味が変わります。概算要求は各省が財務省に出した希望額で、まだ決まっていません。当初予算は国会で成立した年度の予算、補正予算は年度の途中で追加された予算です。官民投資額の想定は、国と民間を合わせた今後の投資の見込みで、予算として確定した金額ではありません。このページでは、数字のそばに必ず段階を書いています。
いま動いている主な方針
3つの国家戦略と2030年目標(内閣府・量子技術イノベーション会議)
量子の国家戦略は、「量子技術イノベーション戦略」(2020年1月、2022年4月改訂)、「量子未来社会ビジョン」(2022年4月)、「量子未来産業創出戦略」(2023年4月)の3本が柱です。2030年の目標として、国内の量子技術の利用者を1,000万人に、量子技術による生産額を50兆円規模に、量子ユニコーン企業を創出することを掲げています。
量子エコシステム構築に向けた推進方策(2025年5月・量子技術イノベーション会議決定)
3つの戦略を補う方策です。研究拠点(QIH)どうしの連携を強め、企業や組織が自然に育つネットワーク(エコシステム)の土台を固めることを打ち出しています。
戦略17分野の官民投資ロードマップ(2026年7月21日・日本成長戦略本部決定)
国が重点を置く17分野の工程表で、「量子」は独立した1分野です。2040年度までの官民投資額は、量子コンピューティング 10.3兆円、量子通信・ネットワーク 1.5兆円、量子センシング 1.4兆円と想定されています。
国の体制とお金の全体像
司令塔は内閣府で、量子技術イノベーション会議が方針をまとめています。研究は文部科学省、産業化は経済産業省が主に担い、理化学研究所・産業技術総合研究所・量子科学技術研究開発機構(QST)・物質・材料研究機構(NIMS)・情報通信研究機構(NICT)などが拠点になっています。
| 何の予算か | 金額 | 段階 |
|---|---|---|
| 政府全体の量子関係予算(基金を含む) | 約434億円 | 令和8年度 概算要求 |
| 同上 | 約361億円 | 令和7年度 予算 |
| 同上 | 約635億円 | 令和6年度 補正予算 |
| 文部科学省の量子関係予算(基金を含む) | 約326億円 | 令和8年度 予算案 |
| 経済産業省:量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速と環境整備 | 1,004億円 | 令和7年度 補正予算 |
技術分野ごとの取組は次のとおりです(令和8年度概算要求の資料より)。
| 技術分野 | ねらい | 主な事業 |
|---|---|---|
| 量子コンピュータ | 国産機の研究開発の強化、産業界への支援 | 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)、ムーンショット型研究開発(目標6) |
| 量子ソフトウェア | 利用環境の整備、ソフトウェア研究開発の強化 | 量子・古典ハイブリッド技術の開発事業 10億円 |
| 量子セキュリティ・ネットワーク | 量子暗号通信の利用拡大、量子インターネットの研究 | 量子暗号通信網の早期社会実装 10億円、量子インターネットの要素技術 13億円 |
| 量子計測・センシング | 応用分野の拡大、事業化の支援 | Q-LEAP ほか |
| 拠点の連携・強化 | 研究拠点(QIH)どうしの連携 | 量子技術イノベーション戦略の推進 14億円(内閣府・新規) |
量子の予算は、研究機関の運営費など大きな予算の一部として計上されているものが多く、量子の分だけを切り出せないものは政府全体の数字に含まれていません。令和8年度の政府全体の成立額は、集計資料を確認できていないため、概算要求の数字を載せています。
主な事業とお金の動き
| 事業 | 金額 | 段階 |
|---|---|---|
| 量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速および環境整備(経産省) | 1,004億円 | 令和7年度 補正予算 |
| 量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業(経産省) | 10億円 | 令和8年度 当初予算 |
| 文部科学省の量子技術関係予算(基金を含む) | 約326億円 | 令和8年度 予算案(2026年1月時点) |
| 文部科学省の量子技術関係予算(基金を含む) | 約62億円 | 令和7年度 補正予算 |
| 量子コンピュータの産業化に向けた開発の加速及び環境整備(経産省) | 2,039億円 | 令和9年度 概算要求 |
文部科学省の令和7年度の量子関係予算は約284億円でした。令和9年度(2027年度)の数字は概算要求の段階で、年末の予算編成で変わる可能性があります。
直近の決定
- 2025年5月 「量子エコシステム構築に向けた推進方策」を決定
- 2026年1月22日 文部科学省が量子技術の政策動向と令和8年度予算案(約326億円)を審議会で報告
- 2026年4月7日 経産省が令和8年度当初予算の概要を公表(令和7年度補正で量子コンピュータ産業化に1,004億円)
- 2026年7月21日 日本成長戦略と、戦略17分野の官民投資ロードマップを決定(量子コンピューティングは2040年度までで10.3兆円の想定)
これから見るポイント
- 令和9年度予算の編成で、量子コンピュータ産業化の要求額(2,039億円)がどこまで認められるか
- 2030年目標(利用者1,000万人・生産額50兆円規模)に向けた進み具合
- 官民投資ロードマップは、決定後も見直しを続けるとされています
読み手別のひとこと
- 学生の方へ:国は「研究」だけでなく「産業化」に軸足を移しています。量子がいつ使えるようになるのかは実用化のタイムラインで整理しています。
- エンジニアの方へ:手元で試すならQiskit入門からどうぞ。国の支援は、実機の開発とあわせて利用環境の整備にも向かっています。
- ビジネスの方へ:「予算」と「官民投資額(想定)」は別物です。後者は民間の投資見込みを含む数字です。市場の見方は量子コンピュータ市場と投資動向2026をどうぞ。
